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ちびガキンチョの頃は、両親の強制お供で、あんなマクドもタイムアウトもないとこに行くのやだなー、だせー、と思いながらよくひきずられるようにしてイタリアへ出かけた。
着いたら着いたで、ぺらぺらとイタリア語をよくしゃべる妹を横目に、くっそー訳わからん言葉でしゃべりまくりやがって、おしゃべりな国民だのおー、と、まさか口には出さないが心のなかでは悪態ばかりついていた。

それがだんだん「文明」というものを理解できるようになってくるにつれて、自分達が作っている万年筆について「熱狂的」というしかない態度で「お若いひと、お若いひと」と繰り返し呼びかけを挟みながら、わしのような愚鈍なガキに二時間も熱心に説明してくれるおっちゃんや、相手は子供であるのにはにかみながら、テーブルにゆるゆると近付いて「料理、おいしいかい?」とゆって、おいしい、というと、これもあれも、と料理屋のおごりで出してくれた若い料理店主、夜の山の斜面にぽつんと小さな灯がともっていて、何も書いていない、ツタにおおわれたドアを開けると壮麗なインテリアの広大な空間がある田舎町のレストラン、
二年も経って訪れたのに、「まあー、よく来たわね!元気だった?風邪はもうなおったの?」と大喜びで迎えてくれる村のひとたち。
フクシマの原発の話をして、でも、日本の科学者は安全ってゆってるみたい、と言うと
「安全でも、わたしはやっぱり子供達が心配だよ。どうして逃がしてあげないのかねえ」とゆって、俯いて、すっかり涙ぐんでしまっているおばちゃん。

コモの村では夏には、中世騎士時代のトーナメントやヘイスタックを転がして競争する中世以来のスポーツ大会、あるいはむかしの農機具や家具をひっぱりだして、中世の服をみなで着て生活を再現するフェスティバルがあるが、そうやって「文明が2700年前くらいからずっとまっすぐに現代に続いている」、重層的というよりは、たおやかな流れのような明るい文明の感じは、当然、ところどころで断絶した文明の切り口の黒々とした傷がのぞいている連合王国のような国とは違っていて、イタリアという文明のすごさを感じる。

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